なぜ運動をしなければならないのか?
なぜ負荷をかけなければならないのか?
その答え。
・骨を支える・動かす筋肉を強くする・大きくする為
・筋肉と神経をつなぎ、身体の動かし方を覚えさせる為
この為に、負荷をかけるということは欠かせないことです。
キツくて、辛くて、嫌なことかもしれません。
でもそのキツくて、辛くて、嫌だという“感覚”を与えてくれることの重要性に気づけたら、見方は変わりますよ。
ということで、“コンディショニングだけで終わらせない理由”をまとめていきたいと思います。
立つということ
“縦”と“立つ”は同じ語源だということを知っていますか?
(言語学者・柴田武 著書より)
ということは、立つということは縦になることだとも言えるということです。
人の体軸を頭頂部から体幹の中央を通り、下肢に向かう直線と定義した時、
体軸が重力方向と平行になっていなければまっすぐに立っていると言えないということになります。
この姿勢を維持するには、骨組みを正しく組み立てるだけではなく、
『重力』に負けないように支える必要があります。
それには、抗えるだけの『筋力』が必要です。
関節可動域=ROMとは?
前回、筋肉と骨の関係性、構造的な仕組みをご紹介しながら、身体の姿勢バランスと身体動作についてお話しました。
その補足事項にもなっていますので、読まれていない方はぜひこちらにも目を通してみてください。
BLOG-骨をコントロールする
関節の可動範囲(ROM=Range of Motion)をコントロールするものは、主に筋肉と関節です。
筋肉の要素(筋肉の伸び縮み)によるものからROMを区分すると、以下の2つに分けられます。
肩関節の可動域を例に挙げています。
①筋肉の柔軟性によって左右される=他動的可動域
②自分でどれだけ力を入れて動かせるのか?=自動的可動域
これを更に、静的可動域と動的可動域に分けることができます。
身体が柔らかいほうがいいの!?
よく話題に出る「身体柔らかい人最強説」(笑)
それがそうでもないのです…
“身体が柔らかい”のと“関節が緩い”を見極めないと危険です!
身体が柔らかい人とは、
①他動的可動域と同じだけ②自動的可動域がある人を指します。
関節が緩い人とは、
①他動的可動域に比べて②自動的可動域がない人を指します。
その差が大きいほどコントロール不能に陥るリスクが高まります。
ケガのリスクが高まるとも言えます。
120の幅を持ち、120コントロールができれば“身体が柔らかい人ってすごいよね!”に当てはまりますが、
50のコントロールしかできなければ危険です。
だったら、50の幅しかないけれど、その50を完璧に扱える方が機能的で良いのです。
以上のことからも、関節可動域に応じた筋力をつけることの重要性を垣間見ていただけるのではないでしょうか?
SAIDの原則—特異性の原則
「Spesific Adaptation to Imposed Demand」の頭文字を取ってSAIDと呼ばれています。
「身体に一定の負荷をかけると、身体はその負荷に見合った適応を示す」
という原則です。
*
*
ここで“筋力今昔物語”を。
現代人の生活様式が特別ダメだとは思いませんが…
(わたし自身恩恵受けていますし…笑)
昔の暮らしというのは、まさに『生きることは動くこと』だったということに触れておきます。
お金を得るために働こうものならば、
現代のようにコンピュータ制御をされた工場などはありません。
重かろうが遠かろうが、人が運びます。
お腹が空けば、コンビニやスーパーへ!
って、そんなもの昔はありません。
自分たちで1から作っていました。
畑を耕すところから…
すべて人力です。
山形県酒田市の山居倉庫の資料写真です。
女性の運搬屋「女丁持(おんなちょうもち)」が米俵を担いでいる資料写真です。
その重さは、1個60kgの米俵を5つ、つまり300kg!
2つ3つ担いで数里を移動する方もいらしたとか…
すごいですね…
わたしも巷では“力もち”で通っていますが、2つがギリギリかと思われます!(笑)
その他あらゆる日常生活においても、昔の人々は、生活の中で無意識のうちに重力に逆らう行動を取らされていたことが多いのです。
一方、現代人は、無意識のうちに勝手に鍛えさせてもらっているなんてシーンはそうそうありません。
例えば…
トイレならば、
和式トイレが一般的だった頃は、フルスクワットをしていたわけで。
洋式トイレがあたりまえの現代は、パラレルスクワットにすらなっていません。
食卓ならば、
卓袱台が一般的だった頃は、床までの立ち座り。
ダイニングテーブルが当たり前の現代は、床より遥か高いイスに座ります。
パラレルスクワットにすらなっていません。
(大事なことなので2回言いました笑)
作業や動作を通じてごく自然に筋力づくりが行われることが理想ではありますが、現代ではその機会はほとんど失われています。
セルフチェックをしてみよう
ここで一つチェックをしてみてください。
足を閉じて直立します。つま先は80°ほど開いて構いません。
手は肘を曲げ、重力に対して縦になるようセットします。
そこからしゃがんでみてください。
手も縦のまま=背中が丸まらない姿勢を保ったまま、カカトが浮かずに下までしゃがむことができれば合格です。
しゃがめない・後ろに転がってしまった方は、
自分の身体を十分にコントロールする身体機能が足りていない可能性があります!
下までしゃがむ機会ってなかなかないですものね…
SAIDの原則は、
「身体は与えられない要求に対しては適応しない」
とも言い換えられるのです。
まとめ
ここまで、負荷をかけることの「意味」を中心にお話ししてきました。
まとめます。
・筋肉と神経をつなぎ、身体の動かし方を覚えさせる為に、抑えるべき考え方は3つ。① 直立二足歩行が故、重力に抗う行動を常に求められる
② 関節可動を確保し、更には意のままにコントロールできるようにする
③ ①②は自分でやらなければできるようにならない
この続きは下記リンクへどうぞ。
負荷をかけることの「意義」に触れていきたいと思います。
この記事を書いた人
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『思い通りに動く』 を科学して運動を通じて問題解決へ導くトレーナー。
*節々の怪我や違和感の原因究明
*日常動作の改善
*競技能力向上
*生活習慣病対応
*手術後等の後遺障害リハビリ
*マタニティヘルス(産前産後)
などの臨床経験多数あり。
2022年6月に東京都杉並区西荻窪に自店舗『ボディーガイド コンディショニング×トレーニング』を構える。
その他、株式会社スポーツオアシス契約トレーナーとして雪谷24Plus店(田園調布)にて勤務。
現場一筋、指導歴は16年目に突入。
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